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【展覧会報告】アート・アーカイヴ資料展XIII 「東京ビエンナーレ’70、再び」

アート・アーカイヴ資料展XIII 「東京ビエンナーレ’70、再び」

【会 期】2016年2月22日(月) – 3月25日(金)

【場 所】慶應義塾大学アート・スペース

【H P】http://www.art-c.keio.ac.jp/news-events/event-archive/tokyo-biennale/



1970年に開催された第10回日本国際美術展は「東京ビエンナーレ」と通称され、隔
年で催される現代美術の展覧会の10回目でした。この回はそれまでの9回とは異な
り、コミッショナーとして選出された中原佑介が全体のコンセプトから作家の選定ま
でひとりで行うという、新たな試みが行われています。「人間と物質(の間)」を
テーマに掲げ、ヨーロッパなどを巡って中原が選んだ作家たちは大部分が20代で、前
年にスイスのベルンで開催された「態度が形になるとき」展を始めとした当時最新の
芸術動向を示す展覧会に参加していました。コミッショナー制であるという点、そし
て若く気鋭の作家を欧米から招いたという点で、当時十分に国際化しているとは言い
難い日本の芸術界においてこの第10回東京ビエンナーレは極めて異色の展覧会で
あったといってよいでしょう。
アート・スペースでの展示「東京ビエンナーレ ’70再び」では、アート・セン
ターが所管するアーカイヴ資料をもとに、この第10回展をとりあげ、特に各作品の館
内配置の再構成を試みました。最先端のコンセプトを採用し、日本の芸術家に与えた
影響も甚大であるにもかかわらず、特に作品配置についてはこれまでほとんど言及さ
れてきませんでした。このことは、コミッショナーである中原が「作品と場との関わ
り」を重視し、地理的な諸条件を勘案して作品を制作する「臨場主義」を標榜したと
いうことを考慮すれば驚くべきことでしょう。これらのことから、数年にわたり計画
されている「東京ビエンナーレ ’70」検証プロジェクトの初年度の成果として、今
回の展覧会ではのちの検証の礎たる場と作品の関係、すなわち東京都美術館館内配置
再現案を提示することになりました。もちろんこれはひとつの研究の成果であり、最
終的な配置が明らかになったというわけではありませんが、少なくとも続く議論のた
たき台としての役割は十分に果たすものであると考えています。
今回の展覧会は一定程度専門性があったにもかかわらず盛況で、多くの来場者の方
に足をお運びいただきました。開催から46年目の今年ですが、当時を知る方々に思い
出を語って頂いたりもしましたし、また作家や主催担当者として参加した方々にも今
回の展覧会を通して接することができたので、これ以降の研究の基礎となるべく位置
付けられた「東京ビエンナーレ ’70再び」展は、十分にその役割を果たすことがで
きたと自負しています。  (新倉)

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