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【展覧会報告】慶應義塾と戦争Ⅲ「慶應義塾の昭和二十年」展

◇ 慶應義塾と戦争Ⅲ「慶應義塾の昭和二十年」展

【日 程】第1会場 図書館:2015年6月1日(月) -8月6日(木)
第2会場 アート・スペース:2015年7月1日(月) -7月31日(木)

http://www.art-c.keio.ac.jp/news-events/event-archive/keio-1945/

「慶應義塾と戦争」シリーズの最終回となる今回の展示では、「慶應義塾の昭和二十年」と題し、第二次世界大戦が終了した年を取り上げることで、終戦の前後における慶應義塾にまつわるさまざまな資料を展示することにより、人口に膾炙する大まかな戦争理解を脱し、大局的な史観からはこぼれ落ちた諸相を浮彫りにしようということが試みられました。 慶應義塾からは学生たちが戦争に引き込まれてゆきました。初めは勤労動員というかたちでいわゆる銃後の一翼を担っていましたが、最終的には学徒出陣に際し、兵士として徴発されていくことになります。中には特別攻撃隊に配属されて若い命を散らした学生もいました。また、こうした学生たちの陰で、慶應義塾の教育者たちにも戦争は重くのしかかり、戦争のさなかにおいて教育の担うべき役割や、それを遂行することの難しさが彼らの苦悩の中にはっきりと見て取れます。 一方で、次世代を築くべき幼稚舎生たちは、親元を離れて各地に疎開していました。彼らが親類縁者とやり取りしたはがきが、今回多数展示されました。時節柄内容は戦争に関する記述が多いとはいえ、子どもを楽しませるために笑い話や謎掛けを送る保護者もいます。子どもたちは保護者の無事を願いつつ筆をとっているようで、時折戦艦や戦闘機の絵を描いている子たちもいます。こうしたやり取りは、戦争下における日常生活の貴重な記録であると言えましょう。 日本の敗戦によって、日吉キャンパスが米軍に接収されるなど、慶應義塾も大きな影響を被りました。復学する学生の増加に伴う校舎不足や深刻な経済難など、慶應義塾を取り巻く状況は困難に満ちていましたが、昭和24年の日吉返還を区切りとして、本格的な復興へと動いていくことになります。 「慶應義塾と戦争」シリーズは慶應義塾に関する資料のみを取り扱うものではありますが、その内容は個別の事例を目にするのはもちろんのこと、全体としての戦争を考えるためにも有益であるということは論を待ちません。奇しくも戦争に関する議論が喧しい現今、こうした展示の意義はこれまで以上に高まっていると申せましょう。「慶應義塾と戦争」シリーズには戦争を知る世代を中心として非常に多くの来館者がありましたが、その中に若年層が多く含まれているという事実がそのことを裏付けています。こうしたことから、「継承」という課題を掲げ、戦争の諸相と今日との関係を考える機会を提供しようとした今回の展示は、一定の成果を得たと言えるかもしれません。  (新倉)

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