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慶應義塾大学アート・センターのお知らせや、活動のレポートをお届けします


【催事報告】アート・アーカイヴ資料展XVII「ジェネティック・エンジン」プロジェクト紹介展示

1998年、慶應義塾大学アート・センターは、土方巽アーカイヴをパイロット・モデルとする「ジェネティック・アーカイヴ・エンジン」を起動し、アート・アーカイヴに対する取り組みを開始しました。そして20年の節目となる2018年、この「ジェネッティク・エンジン」の組成を改めて見直し、新たに組み替えるため、一連の事業を展開します。
アート・アーカイヴは、一つの「ジェネッティク・エンジン」です。個人や組織の記憶は、事実と個体的な感性が折り混ざりあった準資料であり、どこまでも個体の内部に留まり続けます。翻って一つの記録とは、外部化された記憶であり、アーカイヴは、この記憶と記録が交錯する地点に生成します。
個人や組織が関与した過去の出来事の遺伝的要素を宿しながら、アーカイヴはそれらの出来事を、新たな、また多様なパースペクティヴに基づき、再び発生させるエンジンだと言えるでしょう。
展覧会、印刷物、シンポジウム、ウェブサイトなど、各局面で展開するジェネティック・エンジン再編の試みをボード上に展開し、そのプロセスを公開しました。展示終了後も慶應義塾大学アート・センター前の廊下に移設し、このプロジェクトの進行が一覧できるようになっています。

また、本展は慶應義塾大学アート・センター・アーカイヴの20年にわたる旅程を「アート・アーカイヴ資料展」(2006-2018年|全16回)に焦点を合わせ地図のように表現する試みです。これらの展示に出品された資料群は各フレームの中で、まるで全体であるかのように見えるでしょう。しかし、当然ながらそれらは全体のうちのごくわずかな部分にすぎません。仮に作品としての身分を付与されたある個物であれば、それが一つの全体を形成し、展示された状態において完結し得るでしょう。しかし、それが資料と呼ばれる限りにおいて、その個物としての全体性は系列をなす点や諸関係の網の目(部分)へと変成するでしょう。展示やリストとはアーカイヴが膨大に抱えた資料群をあるパースペクティヴにおいて縮約して見せる一つの形式です。
翻って、膨大な資料群を弛緩させ、実際のテーブル上に全てを並べて一望することはかないません。資料の全体を把握しようとするならば、常にある種の地図のようなリストが必要です。壁に提示された瀧口修造コレクションの書簡リストの全体と2回の展示(アート・アーカイヴ資料展II「1978」/アート・アーカイヴ資料展III「1968—肉体の叛乱とその時代」/アート・アーカイヴ資料展VII「大いなる伝統 西脇順三郎アーカイヴ開設記念」/アート・アーカイヴ資料展IX「東京 ローズ・セラヴィ―瀧口修造とマルセル・デュシャン」/アート・アーカイヴ資料展XI「タケミヤからの招待状」)において出品された書簡リストを較べて下さい。弛緩したリスト、つまり物としての資料群へと接近していくその度合いを感じ取ることができるでしょう。
このような諸物とリストとのダンスとでも呼べるような縮約と弛緩の運動、多様なパースペクティヴを通して襞を折り続ける運動が「ジェネティック・エンジン」の運動です。当然、瀧口コレクション以外も、膨大な資料群とリストを抱えています。この展示において、そのような運動を感じて下さったのではないでしょうか。

展覧会ウェブサイト
「ジェネティック・エンジン」プロジェクトページ

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