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【展覧会報告】アート・アーカイヴ資料展XVIII 肉体の叛乱1968-2018 土方巽 トリックスター

アート・アーカイヴ資料展XVIII
肉体の叛乱1968—2018 土方巽 トリックスター

会期:2018年10月1日(月)〜11月2日(金)
会場:慶應義塾大学アート・スペース

アート・センターでは、10年前に「肉体の叛乱」展を開催している。今回の資料展の開催にあたって、1968年の土方巽の舞踏公演<土方巽と日本人>をめぐる新たな資料を展示することはなかった。そこで、「肉体の叛乱」と呼称されるこの公演をめぐって、新たに問いかけ、問いかけられる展示を構想した。
土方巽は、この公演で踊るにあたって「前衛=暴力・倒錯した性・キリスト」と「民俗=日本・秋田・馬鹿王」のダブルバインド状態のまま、舞台に立ったと思われる。そこで、公演資料の展示をおさえつつも、「性」をめぐって、西洋の影響を受けた思想と故郷秋田の民俗にねざす事象を提出した。また、1965年の秋田・田代の里で行われた撮影から生まれた写真(馬鹿王の行列)と、「肉体の叛乱」と題された種村季弘の文章を重ねて展示することで、ダブルバインドの状態が舞台で昇華されたのかどうかを問いかけた。
また、公演後は激しい批判を浴びながらも、「肉体の叛乱」としてメディアへの露出が増えたことを現実として見ながら、2018年の「肉体の叛乱」を対象化したチョイ・カファイの舞台の記録映像を上映した。モノクロームの記録映像「肉体の叛乱」とテクノロジーがポップに表象される目映い映像を並行して上映することで、50年後の現在から問いかける試みであった。もちろん、カファイもまた日本の民俗を体験する旅の果ての作品であるにちがいないが、浅薄ともいえる果敢さは、見る者の感覚を刺激したにちがいない。
観覧者は、整然性を欠いた展示を前に、ある種の混迷を引き受けつつ、舞踏として批判的に見る意見と言葉にしがたい世界を受容する意見に分かれたかと思われる。開館日時からして観覧できる人が限られているのは残念だが、舞踏や土方巽を全く知らない本学の学生たちの率直な意見や感想は貴重である。理解は及ばず、感覚と身体で受け止めていることで、小さなギャラリーの空間で空気を体感して数少ない言葉を残してくれた。(森下)


会場写真撮影:村松桂(カロワークス)

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