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【催事報告】上杉満代舞踏公演「命」

2019年慶應義塾大学新入生歓迎行事(日吉)
上杉満代舞踏公演「命」

2019年5月24日(金)
日吉キャンパス・来往舎イベントテラス
主催:慶應義塾大学日吉教養研究センター日吉行事企画委員会(HAPP)・慶應義塾大学アート・センター
協力:ポートフォリオBUTOH

出演者:上杉満代
照明・音響:曽我傑
ピアニスト:多田正美
コーディネーター:小菅隼人

この舞踏公演は、アート・センター、教養研究センター日吉行事企画委員会(HAPP)による主催、慶應義塾高等学校の協力で行われた。日吉キャンパスにおける舞踏公演は、かつて、大野一雄氏が1994年『大野一雄舞踏公演、御殿、空を飛ぶ』から93歳で『宇宙の花』を踊るまで7回にわたって出演し、その後、和栗由紀夫氏、大野慶人氏、笠井叡氏、中嶋夏氏、ビショップ山田氏、室伏鴻氏、山本萌氏、長岡ゆり氏、岩名雅樹氏、小林嵯峨氏、そして昨年は雪雄子氏が出演した、舞踏界でも認知された伝統行事である。この公演は、当初、上杉満代氏の舞踏に多田正美氏、曽我傑氏が音楽・照明よって共演するというコンセプトのもとに進めており、内容はすでに完成していたが、1週間前、曽我氏が急病のために入院を余儀なくされた。しかし、関係者一同の努力で無事開催された。途中入場者を含めれば300名以上が観劇し、その中には20名以上の高校生もふくまれていた。

上杉満代氏は1950年福岡県で生まれ、幼少期からクラシック・バレエを習い、高校卒業後、1967年に上京して谷桃子バレエ団に入団。1970年にバレエ団を退団した後、大野一雄に師事し、1980年には大野一雄ヨーロッパツアーに参加、ナンシー演劇祭をはじめヨーロッパ各地を巡演した。その後、国内外で勢力的に作品を発表し続けている。2009年3月2日より行われた連続舞踏ソロ公演『ベイビーメランコリア』にて第41回舞踊批評家協会賞を受賞している。上杉氏の舞踏は、大野一雄や土方巽から強い影響を受けつつも、独特の個性を実現している。かなり早い時期の批評だが、市川雅氏は、上杉満代ソロ公演『彼女』(1980年3月安田生命ホール)における「繊細さ」に注目し、「上杉は確実に舞踏の第二世代に属しており、舞踏の概念を肯定しつつ、繊細な動きに自身を賭けているように見える。存在論から離れつつ、舞踏のもつ良質な部分を拡充しようとしているのが上杉であり、存在論の熱烈たる主張はないにしろ、見事と言えるほどの繊細さである」。今回の公演において、上杉氏が大野一雄の「舞踏とは、生活ですよ!」という言葉を強調し、まさに自身で繰り返し語っているように、舞踏とは「人間という動物の持つ現本能のすべてを精神でひっぱりあげ、それを踊りの形にする喜びと難儀」であることを舞踏によって表現していた。また、自然植物やシンバルを使った多田正美氏の音楽はインパクトがあったが、上杉氏の舞踏はそれに拮抗し、見事な緊張関係を作っていた。この数年の中で、最も印象的な公演のひとつである。

公演制作は、例年通り、小菅と森下隆が協同して行い、慶應義塾高校古川晴彦教諭の協力を得た。

(記=小菅)

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